命短し、歩けよたおやめ

体力なし筋肉なし経験なしのたおやめが老朽化と戦いながらはじめた登山の記録

六甲山系ゆるっ登山:【芦屋川駅から高座の滝】恐怖!いもけむロード撤退:おまえら根性の使いどころ間違ってる!

阪急芦屋川駅~有馬温泉(予定)高座の滝で撤退 

【登った時期】2021年5月初旬
【同行者】なし

 新調した登山靴で少し長い距離を歩いてみたくて、久しぶりに六甲山王道コースを登るつもりだった。
もし途中で足が痛くなったり不具合が生じたら風吹岩から降りてもいい。

それが風吹岩どころか、まさか登山道前で撤退することになろうとは。 www.arukuyo.com

 

阪急芦屋川駅から住宅地を進む。予感。

五月晴れの下、いつものように阪急芦屋川駅から出発。
新しい靴もいい感じ。

準備をすませて住宅街を登山口(高座の滝)へと歩いていく。
駅から住宅地を抜けていく間はほとんど日陰がない。
照り返しもきつい舗装路を歩きながら、早く林道に入って木陰に入りたいなあと考える。

後で思いかえすと、住宅街のゆるい坂道を歩きながら、おや?と思うことはあったのだ。
だが、

人は見たいものしか見ない。

そして見たくないものは見ない。

私は常にアレが目の端をよぎっても敢えて焦点を合わせないように生きてきた。「焦点を合わせないことによって存在しないことにする作戦」だ。
今日もたまに視界に入るアレを敢えて無視して進み続けた。
通常よりアレが多いんじゃないか、と脳の端をかすめる悪い予感は多分あったのに。

林道到着。出現。

やがて住宅地が終わり、林道の入り口に到着した。
ここからは木陰が続くので日差しをよけられる。
暑い季節はほっと一息つける林道の始まりなのだが、それが地獄への入り口だったとは!

最初のうちはいつものように問題なく歩く。
他のハイカーもちらほら。
ちらほら。

ちらほら。

・・・いる!

「焦点を合わせないことによって存在しないことにする作戦」が通じない数の。

毛虫

芋虫

青虫

が、地面にうよっているではないか!

*今後、毛虫、芋虫、青虫、、、まとめて「いもけむ類」と呼ぶ。

やつらが平気な人たちからすれば大した数ではないかもしれない。
しかし、私は登山をやってるくせにこの類が大の苦手なのである。

もちろん、山に入る以上、たくさんのいもけむ類がいることはわかっているし、たまにぽろりと遭遇することだってある。歩いている登山道の端っこにいるなあ、と察知した時は「焦点を合わせないことによって存在しないことにする作戦」でやり過ごしてきた。

うっそうと茂った木陰、いかにもぷらーーんがいそうな木陰を進む時はストック(にひっつくと嫌だからできれば現地で拾った棒)で前方を確認し、時には前方空間を攪拌しながら進んだりもする。
傍から見れば棒を振り回しながら歩いている妙な女に見えるだろうけど気にしない気にしない一休み一休み。

しかしものには限度というものが。

これは想定外の多さ。
どうしたって目に入ってきてしまう。

「焦点を合わせないことによって存在しないことにする作戦」失敗。

 

強行突破

地面を這いまわってるやつは毛虫が多い。
しかも、意外なほど早い。
もそもそ、、というよりは、ひょこひょこひょこ、くらいのスピード感で横切っていく。

うわあ、

そういえば、さっきから思ってたけど、その辺に転がってるあの丸まってる感じのやつ、あれって死体?
植物の穂先が散ってるんだと思って(否、思い込むようにして)たのに、やっぱりいもけむ達の死体なの?

↓ こういうやつ。地面に落ちてるとびくっとする。

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そうなのね?

早くこのいもけむロードを抜けたい!
木の少ないエリアへ出たい!

そうだ、ロックガーデンは登山道にあまり木が生えてない。今日は山頂はあきらめてロックガーデンまで行って下りよう。

そうしよう。

しかし、今度は空からの刺客が私の前に現れた。

そう。

ぷらーーんと吊り下がってる青虫たちである。

ぎゃあああっ

お前ら根性なさすぎなんだよ!
しっかり木にしがみついとけよ!

と声にならない声をあげつつ進む。

足元も気になるが、背に腹は代えられrぬ。空中に目を凝らし揺れてる奴を避ける避ける避ける。

私より背の高い他のハイカーの後ろを歩きたい。
前行く人のスリップストリームに入りたい。
それなのにこんな時に限って他のハイカーが現れない。

私は細心の注意を払って前進した。

やっとのことで通常より長く感じた林道がやっと終わり、遂に滝の茶屋へ到着。
暑くてもいい。頭上に木のないエリアを選んで少し休憩。

大悲閣(旅館)の前の橋のあたりを陣取った。
なんだかいつもより汗をかきまくったので、日焼け止めを塗りなおす。
そしてひょいと橋の手すりに目をやると、何かと目が合ってしまった。

橋の手すりの上にまで毛虫が這っているではないか!

こんなところにまで!

 

ここで私の腹は決まった。

 

勇気ある撤退

このまま進んでも、ロックガーデンに着くまでもやつらは待ち構えているに違いない。
気持ち悪さ、怖さもさることながら、毛虫の場合は刺されるのも心配だ。長袖長パンツではあるけれど用心に越したことはない。
なにより、こんな緊張感をもってずっと歩いても楽しくないし、ただでさえ繊細な神経が参ってしまうだろう。

それにしても、これまでソロで登って困ったことはなかったが、今日ほど同行者が欲しかったことはない。もしも背中とか頭にやつらが落下したときにすぐに落としてくれる同行者がいればなあ。。

と思ったのもつかの間。
帰路についた私は、同行者がいるがために恐怖のどん底におとされている少女を目の当たりにしたのであった。

撤退を決めた以上、長居は無用。

今来た道をすぐさま戻る。

空からの刺客をよけながら歩いていると、「ぎゃーーっ」という叫び声がした。小学校低学年くらいの女の子が数メートルおきに恐怖の声をあげているのだ。
よくあるちょっとふざけて騒いでいるという感じではない。
本気の悲鳴だ。
それなのに家族はへらへら笑っているではないか!

そして更に進むと今度は、もうわんわん泣いている少女とすれ違う。
「嫌だー嫌だー虫こわいー」と泣きじゃくっているのに、父親は少女の訴えを無視してやつらの巣窟へ彼女を引きずり進んでいく。

背が小さいから地面を這いまわるやつらがうんと近くに見えるんだろうな。

可哀そうすぎる。。

これって虐待ではないだろうか。

 

それにしてもいもけむ耐性の強い人が多いことよ。

帰路は多くの人とすれ違ったが、ぎゃん泣き少女たちと私以外、ほとんどの人がいもけむたちを気にしていない様子。

神経をとがらせていたにも関わらずぶらーーんと来た奴に接触しそうになって「ひぃっ」と身をすくめる私を見て「あらあら」とほほ笑む女性。

「お父さん、おなかおなか」(に青虫ついてまっせ)
「おう」(顔色一つ変えずはじきとばす)
無表情なご夫婦。

みなさん、本当に全く平気なのか。
あるいは、いもけむ地獄ロードになっていることに気づいていない人が多いのか。
無防備にも半袖短パンで来ている青年までいる。
刺されてかぶれたらどうするんだ。

そうこうするうちにやっと林道の終わりまで来た。

ああ嬉しや、青い空。

すぐにざっと見える範囲の体をチェック。
帽子も脱いで確かめる。

・・・と!

新品おろしたての登山靴のつま先に変な奴が乗っかってるではないか。
なんか青いような透明なようなのがぐにゅぐにゅしている。

枯れ枝を拾って剥がそうとするがなかなか離れてくれない。

お前らあれだけぽろぽろ木から落ちてくるくせに!
しょうもないとこで根性だすんじゃねえよ!

と怒りながらひっぺがす。

毛虫じゃないからぷちっと指で弾き飛ばせば早そうだけど、つぶれたら嫌なんだもん。
それに、飛ばした奴が真上に飛んで頭上に落下してこないとも限らない(心配性)。

やっとのことでのっぺら透明青虫をはがし、住宅街をどんどん下る。

住宅街のお屋敷の壁やアスファルトの道路にもやつらはいた。

既に力尽きて「焦点を合わせないことによって存在しないことにする作戦」を遂行できなくなった私の目に嫌でも入ってくる。

とはいうものの、空からの刺客がいないだけ安全地帯なのだ。

芦屋川沿いの桜並木の下は歩かないようにしながら阪急芦屋川駅へ向かう。
駅前広場に着くとベンチに早速ザックをおろして「お持ち帰り」がくっついていないか総点検だ。

まずトイレにかけこみ、鏡の前で背中をチェック。

OK!

ザックの外ポケットにつっこんであった地図やボトルも念のため出して点検し、ベンチに並べる。ポケットの中にも入ってないことを確認。

OK!

最後にザックをあらゆる方向から調べる。
通常ならそこまでしないでしょ、という細かいところまで。

 

 

いたーーーっ!

 

 

なんと

ピッケルループの内側に、ループに沿うように擬態してかっぱえびせんぐらいの巨大サイズの黒い奴が、のほほんと へばりついていた!

こんなところにまで入り込むとは恐ろしいが、
一般のみなさまの目は誤魔化せても私の目は誤魔化せないのだ。

すぐに棒きれでひっぺがそうとするが、例によって例のごとく離れてくれない。

お前らあれだけぽろぽろ木から落ちてくるくせに!
しょうもないとこで根性だすんじゃねえよ!

とまた怒りながら、
ふと、ずいぶん昔に亡くなった田舎の祖母のことを思い出すのだった。

おばあちゃんならこんな毒も毛もないしょぼいやつ、指でつまんでポイッ、いや、ポイどころかひねりつぶしたかもしれないね。。

私にもおばあちゃんの血が流れているはずなのに、どうしてその強さの半分でも受け継いでいないのかしら。

半分どころか四分の一も受け継いでない私は長時間かかってやっと黒い奴をひっぺがすことに成功。実質1時間半ほどしか歩いていないのにへとへとになって帰宅したのであった。

 

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それにしても、あれだけ気をつけて歩いた私にすら2匹もくっついていたということは、あの無防備な人たちには平均5匹くらいくっついてるんじゃないか。

恐ろしやいもけむロード。