剣山山頂:別名平家の馬場は大げさではなかった
【登った時期】2023年05月下旬
【同行者】なし
強風と自らの怠慢のため、眠れぬ熟睡はできない一夜を過ごした翌朝。
寝心地の悪さで何度も何度も目が覚めたけれど、体調は悪くない。眠れなかった気がしているだけで案外しっかり睡眠をとれたのだろうか。
ともかく、テント泊で平坦に横たわることは非常に大事だと身に染みたので、次回からは無精を決め込まず、可能な限り快適な設営を心がけようと誓う。
本日は剣山山頂を経て13:45のバスに間に合うよう見ノ越に下りればよいので、のんびりと出発準備。雲も少しずつ消えつつあるので山頂が楽しみだ。
一の森から剣山へ。再び楽しい笹の道
今日は一の森山頂側から下りて行くことにしたので、ヒュッテの横から再び一の森山頂方面へ登る。
下山道は山頂の手前に分岐があるが、もう一度山頂まで行ってみた。
薄い雲は広がっているけれど、今日も笹原の向こうに並ぶ太郎と次郎が素晴らしい。
逆光だった昨夕より三嶺方面もはっきり見える。
頂上から少し下り大きな岩がごろごろしているポイントは縦走路も見えるので、一の森山頂より気に入った展望台。
岩の傍まで行くと笹の間に鞍部まで下りて行く道が現れる。
笹の迷路みたいな感じは、六甲山にちょっと似ているなあ。
急なところは手で支えながらゆっくり下りた。
笹の迷路を抜け、二の森が見下ろせるところまで来た。
すぐに昨日歩いてきた道に合流。
二の森を超え、、
今日も気持ちの良いこの道よ。
だんだんと青空も広がり、気分最高。
どこまでもどこまでも歩いて行きたいなあ。もちろん嘘だけど。
やがて太郎次郎兄弟が再び姿を現した。
幻想的な白骨樹。
三重県の大台ケ原に広がる白骨樹の林は、台風と鹿の食害により原生林が衰退した姿だと聞いた。
ここ剣山も昔々はうっそうとした森の山だったのだろうか。一の森付近には白骨樹がたくさん見られるコースがあるようなので次回はそのあたりをじっくり歩いてみたいな。
笹の斜面にひときわ目立つ獣道は鹿が歩いた跡だろうか。
遠くから見る剣山山頂下の斜面にはミステリーサークルのごとき大きな円がたくさん。
どうなってるの??
ミステリーサークルは近づいてみると、円形の部分は笹の葉の色が違うことがわかった。
笹の種類が違うのか、枯れている笹と緑濃い笹の違い?
どちらにせよくっきりと円形に色が変わっているのがなんとも不思議。
ミステリーサークルを見ながらゆるく登ると、山頂部東端に到着だ。
最後に一の森方面を振りかえってみる。
楽しい道だったなあ!
剣山山頂に到着
伝説では平家の落人が平家再興を目指して訓練に励んだという【平家の馬場】と呼ばれる山頂部。
予想よりずっと広い。
○○○と呼ばれる、とか、別名○○○というのは、大抵ちょっと大げさだったりすることが多いから、こんなに広大だと思っていなかった。
平家の馬場?
ふうん、せいぜいパドックぐらいはあるのかしらねえ、程度だと思ってたのだが。
いやいや、確かにこれは馬で駆け回りたい!
「鹿も四つ脚なら馬も四つ脚!」とか叫びながら鹿を追い回したい。
あっ、これは宿敵・義経のセリフでしたっけ。
失敬失敬。
▼広大な平家の馬場にたたずむ美しきトイレ
笹が生い茂る丸い頂上付近には木道が張り巡らされている。
一の森からは東側のテラス部分に戻ってきた。
まずは山頂へ。
午前中なので人は少ない。
到着!
剣山 標高1955mに登頂!
徳島県最高峰にして西日本第二の高峰なのに、テント泊装備でこんなにゆったりと登れたなんて。。
剣山観光登山リフトのおかげでございます。
太いしめ縄で守られているところが一等三角点。
そして有名な次郎笈の展望。
なんて素敵な道だろうか。
次はここを、そしてその向こう三嶺へ続く道も歩いてみたい。
野望はどんどん湧いて来るけれど、見た感じ【西島から山頂】よりも【山頂から一の森】よりも厳しそう。
標準コースタイムは1時間らしいけど、一の森への1時間と比べるとあんなに鼻歌交じりで歩ける1時間ではなさそうだ。
張り巡らされた木道は「らくちんに歩けるように」ではなく「自然保護」のためなので木道以外は歩行禁止。
休憩やお弁当を食べられるよう数か所に展望テラスが設置されている。
到着時は閑散としていたが、徐々に人も増えてきた。
今日はこのまま天気も良さそうなのでこれから多くの人でにぎわいそうだ。
開放感抜群!
真夏は地獄かな。
テラスからは360度の大展望。
中腹に小さく見えているのはおそらく観光リフト西島駅。
暑くも寒くもなく風も止んだこの日は山頂散歩に絶好の日和。
四方をぐるりとまわって楽しんでいるとあっという間に11時を過ぎてしまった。
そろそろ下山しよう。
宝蔵石まで戻ってきた。
今日はパワースポット巡礼者はいない。
下からあおると迫力が増し、確かに何某かのパワーを授けてくれそう。
宝蔵石神社でお礼を申し上げて鳥居をくぐって下山開始。
▼ひょっこり宝蔵石
尾根道コースで下山
復路は尾根道コースを選択した。
尾根道コースは3つのコースのうち一番コースタイムが短くその分傾斜が急。
と言っても、登山道は整備されており【尾根道】だけあって展望も良い。
大剣道コースとの分岐。
右の階段を下りて行く。
頂上近くは傾斜のきつい階段が続いていた。
大剣道コースよりこちらの方が人気がある様子で、登ってくる人たちとどんどんすれ違う。初心者にもおすすめの山だけあって、登山に慣れていなそうな人も多い。
このコースも大きな岩があちこちに見受けられた。
だんだんとゆるやかになってきた道を下りて行くと、少し開けたところに【刀掛の松】が現れた。
またしても安徳天皇登場だ。
生き延びた安徳天皇が剣山に登る際、宝剣を持ち続けている従者に刀を松の木に掛けて休むように気遣われた、という伝説の松。
ええ話やなあ!
と思いつつも、宝剣を持っていたのに【剣掛の松】じゃないのはなんでだろう、と気になる私。
どんどん下りる。
振り返ると剣山山頂ヒュッテ別館の青い屋根。
写真を撮ったりしながらゆっくり歩き、40分弱で西島駅到着。
西島駅から見ノ越まで、帰りは歩いて下りようと思っていた。
のだが。
ここではっと思い出した。
昨日、反射的に【リフト往復チケット】を購入していたことを。
常に楽して登ろうとか使えるものは何でも使うぞと思っているせいか、たおやめの体力に合ったゆとりのある登山を心がけているせいであろうか。
もったいないので結局復路もリフトに乗る。
往路よりも更に乗客は少なく、ガラガラといっても差し支えないだろう。
昨日に引き続き剣山についてのアナウンスを聞きながら、リフトでぽぽぽ。
あっという間に見ノ越に到着した。
予定外にリフトで下りたため、バス予定まで時間はたっぷりある。
まずは剣神社に無事登頂できた感謝をお伝えした。
昨日の到着時に見ノ越駐車場付近の店はほとんどが閉まっていたので、お昼は非常食ですませるしかないかと思っていたが、神社前の土産物屋軒民宿【まつうら】が営業されており、食堂で暖かい蕎麦を食べることができた。
この蕎麦が思いのほか(失礼)美味しく、トイレも借りられてありがたかった。
そしてJR貞光駅
13:45分のJR貞光駅行のぐるっと剣山登山バスは復路も【つづろお堂】で乗り換えがあり、JR貞光駅に着いたのは予定より少し早めの15:35ごろだった。
貞光駅発徳島行は16:44なので、なんでこんなタイムテーブル?
と思ったが、阿波池田行が16:10発なのでこれに間に合うようにしているみたい。
待合室はあるけれど1時間以上の待ち時間だ。
バスが貞光駅前に近づいたあたりから、(時間をつぶすところはないものか、、、)と窓に張り付いて町並みを凝視していたのだが
肉屋に薪ストーブ専門店(ええっそんな需要があるの?すごいな)散髪屋、銀行、、、
あっ!1軒だけカフェ?飲食店?に見える建物がある!
店は駅から100mも離れていなかったので行ってみることにした。
▼昨日朝は閉まっていたので気づかなかったと思われる可愛い店構え。
【茶屋コリトリ】とある!
入ってみると、地元のお客さんらしき女性グループがおしゃべりに花を咲かせており、私が入った瞬間
漫画みたいに「しーーーん」と、全員の視線が集中。
が、次の瞬間。
「どうぞどうぞ!」
「こっち空けるわね。うるさくてごめんなさいねー」
「登山に行ってきたの?」
とテーブルを空けてくれた。
飲み物と【本日のおやつ】として数種類の甘いものが用意されており、どれも美味しそうだったが、ベイクドチーズケーキとお茶を選択。
女性店主もとても感じの良い方で、お茶もケーキもとても美味しい!
お茶は地元のものだそう。
急須とポットで提供され、ポットにはお湯を足してくれるのでたっぷりいただけてとてもありがたい。
思わぬ素敵なカフェで長ーい待ち時間をゆったり美味しく過ごすことができた。
不定期営業で営業日はFaceBookで確認できる。
*2024年1月現在は休業中・2024年春の再オープンを調整中とのこと。
剣山にはまた登ってみたいが、その際にオープンされていたらこちらにもぜひ伺いたい。