命短し、歩けよたおやめ

体力なし筋肉なし経験なしのたおやめが老朽化と戦いながらはじめた登山の記録

徳島で一番高いところに立ってきた_2:西島駅から剣山頂上を経て一の森テント場へ【剣山1955m】

一の森は太郎笈次郎笈を見渡す静かな展望台

【登った時期】2023年05月下旬
【同行者】なし

神戸から高速バス、JR、ぐるっと剣山登山バスを乗り継いで、
【剣山観光リフト】で標高1700mの西島駅まで楽をした後はいよいよ登山開始。

剣山観光リフト西島駅から大剣道コースで頂上へ

信仰の山らしい幾つかの鳥居をくぐりながら、右側が開けた樹林帯を歩いて行く。
ゆるい登りは歩きやすく、か弱いたおやめの私もテント泊荷物の重さに負けず楽しく歩くことができる道。

雲の間から時々太陽が顔をのぞかせる曇りの天気。
暑くもなく寒くもない歩くにちょうど良い日和だ。

体を慣らしながら歩いて行くと30分ほどで大剣神社に到着した。

「天地一切の悪縁を絶ち、現生最高の良縁を結ぶ」
超絶力強い言葉が書かれているのでしっかり拝んでおく。

ご神体は神社の後ろにそびえる大岩だ。

丸い頂上なのに【剣山】というのはこれいかに?
の由来の一つが
「この大岩(御塔石)が剣のようだから説」
もう一つは、「(伝説で)源平合戦から逃れた安徳天皇が頂上にある大岩(宝蔵石)の下に宝剣を納めた説」だそう。

どちらにしても大岩が由来となっており、大岩を神様の依代として大事にしてきた日本人らしさを感じる。
我がホームグラウンド六甲山もあちこちに伝説があったりまつられている岩が鎮座している山なので、岩が御神体になっていると親しみが湧く。

「もし何某かの悪縁に囚われているのでしたらどうか断ち切ってくださいませ。良縁は最高でなくともそこそこのものを結んでくださいませ」
と祈ったら、次はご神水を汲みに行く。

道標にもあるように神社から90mほどのところに御神水が湧いているはずなのだ。

環境省選定名水百選にも選ばれている剣山御神水(つるぎさんおしきみず)だ。
道標の先は地図から想像していたより急な階段が続いている。
結構下るのね、嫌だなあ。
しかし大剣道コースを選んだはこの御神水をいただくためなので嫌々下りる。

少し下って振り返るとそびえたつ御塔石の姿。

神社の後ろにひょっこり見える姿はあまり剣っぽくなかったが、ここから仰ぎ見るとかなり剣っぽい。

下りてきてよかった。

よかったけど、まあまあ急な下りだし、ほんとに90m?と思うほど遠いな。
100mじゃなくて90mと中途半端な距離が書かれているから、ほんとに90mなんだろうけど。
水の音もしないし、御神水どこから湧いているんだろう?と思いながら更に下りて行くと。

唐突に現れた【御神水】の文字。

湧き水にもいろいろあって、滝みたいに岩の割れ目から流れ落ちているものもあるけれど、ここは下から湧き出している文字通り湧き水系。
湧き水というか水溜まりっぽいので、抵抗感のある人もいるかもしれない。

私はあんまり気にならないので、冷たくて美味しい御神水をたっぷり飲んでのどの渇きをいやし、持参のペットボトル2本にもしっかり詰めた。

このような水溜まり系湧き水は汲み方が悩ましい。
ペットボトルを直に突っ込むのは気が引ける。
こちらには柄杓が置いてあったのでありがたく使わせていただき、柄杓ばかりか漏斗まであったので大事な水をこぼさないよう詰めることもできた。

まことにありがとうございます。

剣山御神水で少し重たくなったザックを感じながら大剣神社まで戻り、再び頂上を目指す。

樹林帯は抜け、笹の間の見晴らしの良い道だ。

名のありそうな無いような大岩が門のように構えていたり。

のんびり歩いていると、行く手に青い建物が見えてきた。
剣山頂上ヒュッテだろうか。
ということは頂上まであと少し?

剣山頂上付近をひとまわり

【剣山本宮】と書かれた木造の鳥居をくぐって階段を登り剣山本宮宝蔵石神社の前に到着した。

この神社の裏手が頂上。
ここでも神社の後ろからひょっこりと御神体の大岩が顔をのぞかせている。
さすがにリフトの力を借りてきただけのことはあり、、、楽勝だった

無事に到着したお礼を申し上げ、御朱印をいただく。

 

神社の横には剣山頂上ヒュッテ。
先ほど見えた青い屋根の建物はヒュッテの別館のようだ。
予定ではここで昼食をとるつもり。

入り口の黒板にランチメニューも出ている。
中を覗くと席もあいているようなので、頂上は後回しでまずは腹ごしらえ。

入店時はガラガラだった食堂は、私が食べ終えるころには大混雑となった。
リフトで楽せずちゃんと登ってきた人たちが到着した様子。

暖かい半田そうめんと梅ジュースを選択。
そうめんのだしはとても美味しくて全部飲み干してしまった。
ごちそうさまです!

頂上ヒュッテの前からの眺めは北あるいは北東方向のはずなので、山々の向こうには瀬戸内海が横たわっているのかな。

頂上へは宝蔵石神社とヒュッテの間の細い階段を上る。

神社の裏手に出ると、表からは頭だけをのぞかせていたひょっこり岩がどーん。

御神体の【宝蔵石】だ。
これが安徳天皇が宝剣を奉納したという伝説の岩ですな。
岩の前にはびっくりするほど長い時間岩の前でなんやらかんやらやっている女性がたたずんでいた。どのくらい長い時間かというと、私が岩をさらっと拝んで頂上付近を見に行って戻ってきてもまだいたというくらい、、の長時間だ。
さすがに再訪した私がカメラを取り出すと名残惜しそうに離れて行ったけれど。

これがパワースポット巡りというやつだろうか。

ぱあっっと見渡せる頂上付近。
木道が巡らされておりきれいに整備されている。

軽くまわってみたが、展望もきかずガスも流れてくるので明日ゆっくり訪れることにする。
天気予報でも明日は今日より天候が回復するはずだ。

頂上のトイレは非常にきれいだった。
たぶん剣山登山で使用できる中で一番きれい!

剣山頂上から一の森ヒュッテへは気持ちのいい笹の道

そんな感じで頂上付近は軽く流し、東側の展望テラスから一の森ヒュッテへ向かう。

ちょっとガスっているけれど、なんだか素敵な道が続いているようだ!

ガスの中にもこっと見えるのが目指す一の森だろうか。

右手には頂上から次郎笈。
こうして横手から見ると結構な高度差があるようだ。

重いテント泊荷物も苦にならない気持ちの良い笹道。
ゆるやかに登ったり下ったりしながらぐんぐん歩く。
頂上付近にはたくさんの人がいたが、こちらはひっそりとしている。数組とすれ違っただけで一の森方面に歩くのは私だけだ。

気持ちいい!

こんな道ならどこまでもどこまでも歩いて行きたいなあ。。
たまにはそんな事を言ってみたかっただけで嘘だけど。

そんな風に思えるほど歩きやすくて爽やかで美しい道だ。
地図や登山ガイドブックの「ゆるやかなアップダウン」には何度もだまされてきたけれど、こういうのこそ「ゆるやかなアップダウン」よねっ!

少し登ったところが二の森というところ。

小さな祠があり、少し木々が茂ってなるほどここだけは【森】だ。

森の入り口で何かが動いた。
一瞬どきっとしたが、

なあんだ、蛇だ。

蛇はしゅるしゅるっと横切って木々の中へ消えて行った。
友人にも不思議がられるのだけど、毒蛇でなければ蛇にはまったく恐怖を感じない。
横切ったのがいもけむ類ではなくてホッとしながら森へ突入。

そこだけうっそりと暗かった二の森を下りると再び笹の道が続く。

楽しく歩いているうちに分岐に出た。
ほぼ朽ち果てかけた道標があり、見にくいけれど

左向けの矢印には【一の森ヒュッテ経由頂上へ】と読める。
地図を見るとどちらでも行けそうだけど、まずはヒュッテに行きたいので左の道を進む。

右側のこんもりした部分を巻く道を進んでいくと何やら人工物。

一の森ヒュッテに到着した。

三角屋根の水色の建物だ。

テントを張って一の森頂上へお散歩

ヒュッテに入り、小屋番さんに声をかけて手続きをすませた。
一の森山頂を通ってきたか聞かれたのでまだと答えると、
「小屋の横から簡単に登れるから行ってごらん。山頂から尾根道をくるりと回ればテント場まで戻って来られるよ」とアドバイスをいただいた。

小屋から少し下った所にあるテント場にテントを張り、早速一の森頂上へ登ってみた。
小屋番さんに言われた通り、歩いてきた道に一の森山頂へ向かう分岐があり、さきほどはまったく気づかなかった非常にちっこい道標が一応あった。

道はすぐに笹の間を登っていく。
天に向かっていく気分。

一の森頂上1879mに到着!
空は明るいが、遠方はガスで見えない。
あの白くかすんだ向こうに見えそで見えないのが剣山のはず。

反対側にはヒュッテの可愛い水色の屋根が見下ろせる。

晴れそうで晴れないガス。
空も明るく気持ちが良いので、ゆっくりと水分を取りおやつなど食べていると、だんだんガスが晴れ、やがて剣山が姿を現した!

あたりまえだけど、剣山からは剣山を見渡すことはできないし、剣山は山奥深ーいところにそびえているため登山口へ向かう途中からも全貌を見ることができなかった。

輝く笹原の向こうにどーんと姿を現した剣山。
・・・の手前にピーク(おそらく二の森)があるので完全なる全貌は見えないけれど、充分満足。

頂上から下りて尾根道を少し進んだあたりにも眺望ポイントがあった。
大きめの岩がごろごろしているので座ってゆっくりこの絶景を独り占め。

一の森山頂からは見えなかった歩いてきた道も見える。

鞍部のあたりにちょっと悩んだ分岐も見える。あそこで「山頂」(右側)を選んでいたら小屋を通らず直接ここに着くみたい。
明日はここから鞍部に下りてみよう。

剣山の左側には次郎笈。
その間にちょびっと見えているのが三嶺かなあ。
太郎がいないのになんで次郎?と思っていたが、剣山の別名が太郎笈だそう。
剣山に登り、ちょっと物足りなくて次郎笈まで足を延ばす人が多いと思うけれど、
これまた当たり前だが次郎笈からは次郎笈は見えない。

次郎笈からは剣山全貌がしっかり見えるようだが、太郎と次郎を一緒に眺められる一の森も素晴らしい。
静かな山歩きが好きな人にもおすすめと思う。

岩に座ってしばらくこの美しい展望を独り占め。
大好きな流れる雲をぼんやり眺めて、名残惜しいがそろそろテントに戻ろうか。

小屋横に直接通じる道は下りず、小屋番さんに聞いたとおりに尾根道を進む。
これまた気持ちの良い笹の道だ。

右手には太郎次郎。

そびえたつ白骨樹。

左手にはテント場が見下ろせた。
笹原の中にぽつーんとたたずんでいる。

尾根道は更に続いていたが、誘惑を断ち切り小屋方面に下りる。

青い屋根のヒュッテまで戻ってきた。
ぽこんと右側にある一の森山頂からくるっとまわってきたことになる。
ほんとに良い散歩道だった。

小屋番さんありがとうございます。