命短し、歩けよたおやめ

体力なし筋肉なし経験なしのたおやめが老朽化と戦いながらはじめた登山の記録

徳島で一番高いところに立ってきた_1:リフトでぽぽぽ!西日本第二の高峰をめざす【剣山1955m】

西日本第二の高峰ながら初心者にも登りやすい剣山

【登った時期】2023年05月下旬
【同行者】なし

西日本第二の高峰、徳島県の剣山に登り、一の森ヒュッテでテント泊をした。

日帰り可能な山でも小屋があればなるべく泊まってゆっくり過ごすのが好き。
剣山も日帰りで登れる山だけど、宿泊して山を楽しみたい。
山頂には剣山頂上ヒュッテがあり、ここに泊まるのもよさそうだがテント泊に挑戦することにした。

目指すは頂上から1時間ほど歩いたところにある一の森ヒュッテ。
このテント場なら体力の無い私にも歩けそうだ。

 

 

剣山への遠い道のり

関西から近そうで意外と遠い剣山

徳島県の最高峰剣山は西日本第二の高峰だ。
しかし、その頂上は笹の広がるなだらかな山容で登山道も整備されて初心者にも登りやすい。

しかも【剣山観光登山リフト】というたいそう素敵な乗り物があり、剣山登山の拠点である見ノ越から一気に1750mの彼方へ運んでくれる。
(もちろん自分の脚で登りたい人のための登山道もある。)

そんな体力無しのたおやめにも優しい山なのにこれまでなかなか登れなかったのは、公共交通機関でのアクセスが不便だから。

公共交通機関利用でも神戸や大阪から徳島市までは近い。
便利で安いのは高速バス。
徳島行は1時間に何本も出ていて、神戸から所要時間2時間、大阪からも3時間ほどでお手軽に行ける。

しかし、その後が遠い。

まず徳島市内から「最寄りの駅」までが遠くて不便。
そして「最寄りの駅」から登山口までが更に遠くて不便。

登山口の見ノ越と最寄り駅までは、ありがたいことに登山シーズンのみ運行の「ぐるっと剣山登山バス(所要時間2時間)」を利用できる。
乗降場所はJR駅や阿波池田バスターミナルなど。
タクシーしか手段がない山に比べれば恵まれているといえましょう。

年度によって違うようだが、2023年は2ルートが運行されていた。

【貞光一宇ルート】 接続JR駅は貞光駅
【池田東祖谷ルート】接続JR駅は大歩危駅または阿波池田駅

*どちらも1日2往復のみ
*運行日と時間はルートによって違うので要注意。
*春と夏・秋に運行があり梅雨の時期はお休みみたい。

念のため、問い合わせ先の【つるぎ町交流促進課】に電話してみたが、予約は必要ないとのこと。

はるばる瀬戸内海を超えてきてもし乗れなかったら。
と不安になったけど、
「大丈夫です。絶対乗れます」と自信満々の答え。
*現地で受けた印象だと、定員オーバーの際はどうやら増便を出してくれるみたいだった。

担当者はとても親切で、色々説明してくれた。

・駅はとっても小さいので、バス乗り場はすぐわかる。
・一般の路線バスのような大きいものではなく小さいので見過ごさないように気をつけて。
・しばらくトイレに行けないので貞光駅で行っておいた方がいい。

徳島市内からJRとバスを乗り継ぎ見ノ越へ

午前便バスに乗りたい場合、どちらのルートを選んでも前泊は必要だ。

私は【貞光一宇ルート】を選択し、仕事の後で神戸から高速バスに乗って徳島駅近くで前泊、翌朝JRで貞光駅へ向かった。

貞光駅発 7:50の午前便バスに乗るためには、
徳島駅発 6:06 の普通か  6:46発の特急に乗らなければならぬ。

6:46発だとギリギリ過ぎて心配だったため、がんばって6:06の普通に乗り込んだ。

車内はガラガラ。
うつらうつらしたり景色をぼんやりみているうちに

7:31貞光駅着。

無人駅だ。

どこから乗ってきていたのだろう。
ちょっと驚くほどの多数の高校生が下り、あっという間にどこかへ消えて行った。

▼駅舎の屋根に「剣山登山口」アピール

ホームには【剣山】と彫られた岩。
剣山圧をぐいぐいと感じる。

こじんまりとした待合室だがコインロッカーもある。
トイレはどこだ?と思ったら

駅舎の横にやたらと大きくてきれいなトイレがあった。
駅の規模のわりに立派なのはやはり登山者が多いからでしょう。

駅には結構大きめの売店もあってのぼりもたっていたが閉まっていた。
ちなみに翌日(日曜)も閉まっていた。
土日に開けなくていつ開けるの?と思ったけど、通学の学生や通勤者を相手に平日だけ開けているのかなあ。

ぐるっと剣山登山バス

【つるぎ町交流促進課】の担当者が
「小さな駅なのですぐわかります!」と教えてくれたように、
バス乗り場は駅のド真ん前で確かに間違えようがない。

ぶらぶらしているとマイクロバスが到着。

【見ノ越】とか【登山バス】という文字が無いが、このバスでよいとのこと。

特別に登山バスをしつらえているわけではなくて、通年走っている地元のコミュニティバスで駅から出発し、途中で乗り換えて登山口まで行くみたい。

運転手もいかにも地元のおっちゃんという感じで、出発もゆるーい感じ。
もしもトイレが混んでたら「待ってて!」とお願いすれば絶対待ってくれる空気感が流れていた。

地元のお客さんが数名、登山者も数名乗り込んでバスはほぼ満席となって出発した。

貞光は「うだつの町並み」が有名だそう。
こういうのかな?

古い街並みを行く間に、、、あっという間に眠ってしまった。

はっと気づくと山の中。

地元のお客さんは下りて行き、乗客は登山者だけに。
貞光駅から1時間弱。
カーブの多い道をしばらく走ると【つづろお堂】というバス停でバスを乗り換えるよう指示があった。

ここで一般のコミュニティバス路線は終わるので、登山用のバスに乗り換えるようだ。

つづろお堂にはトイレがあり、
「まだ1時間あるから、行きたい人は行っといてー」と有難いアナウンス。

乗り換えた後もうとうとしながら山を行く。


たまに目覚めてみると、確かに道はかなり細い。
対向車とすれ違いできず、どちらかが退避ゾーンまでバックすることも何度もあった。
うん。
これは私には無理ですな。
もし再訪することがあったら、再びぐるっとバスに乗ることを決意。

【つづろお堂】から1時間弱。剣山の頂上が見えてきた。

西日本第二の高峰なのに、こんなに近づかないと見えないなんて、

さすが平家の落人伝説が残る山。

秘境である。

2時間揺られ、バスは遂に剣山観光登山リフトの駐車場に到着した。

念のために明日のバス時間を確認。

調べておいたとおり貞光駅行きは
午前07:55
午後13:45 の2本のみ。

運転手にも聞かれたので、明日午後便に乗る予定と伝えておく。

剱神社にお参り後は剣山観光登山リフト

まずはバス停から少し道を戻ったところにある剱神社にお参り。

御朱印をいただきたかったのだが見当たらず、、

境内を見回してみると、簡易宿泊所がありそこで御朱印の受付をされていた。

ちなみに「歩いて登る人」はこの神社の境内から登る。
同じバスに乗っていた人やマイカーで到着した人など登山者はほとんど登山口に吸い込まれていったが、そんな中、私はリフト乗り場へ引き返す。

剣山観光登山リフトは駐車場そばの見ノ越駅から西島駅まで標高差300mあまりを運んでくれる素晴らしい乗り物だ。

剣山標高    :1955m
見ノ越駅の標高 :1420m
中腹の西島駅標高:1750m

歩いた場合、見ノ越登山口から西島駅までの標準タイムは50分ほどなので歩けそうだとは思ったけど、
いやいや今日はテント泊の荷物を担いでいるのだ。

無理は禁物。

体力温存!

www.turugirift.com

 

初志貫徹することにしてリフト乗り場へ。

駐車場まわりに登山者の数は結構いたけれど、リフトに乗る人はほとんどおらず、
立派な登山姿でリフト乗り場に現れたのは私くらい。
あとはほぼ観光客である。

リフトはシングルタイプ。
係員にザックの紐が絡まないように注意を受け、しっかり前に抱きかかえてGO!

シャクヤクかな?
ピンクの花咲く美しい中、

リフトはぽぽぽぽ、、、と上昇。

木々の間を歩く登山者が見えた。
なかなか気持ちの良さそうな道なので明日は歩いて下りようかな、と思う。

途中登山道とリフトが交差する個所もあり、頑張って歩いている人たちの上をゆく。
「あっ、飛びついたら乗れそうやなあ」とリフトを見上げる青年も。

観光リフトだけあって、剣山の自然や歴史についてのアナウンスが流れていた。

古くから信仰の山として栄えた剣山。

色々な伝説に包まれているが一番有名なのはやはり平家落人伝説だろう。

源氏に敗れた平家一門が安徳天皇を奉じて祖谷に逃れ、三種の神器の一つの宝剣をこの剣山に納めた言い伝えがある。
頂上付近は平家の馬場と呼ばれ平家再興に備え騎馬訓練をしたのだとか。

剣山は宮尾登美子の【天涯の花】という小説の舞台にもなっているそう。
読んでから来ればよかったなあ、とか
平家落人伝説は日本各地にあるけれど、やっぱり本命はここよのう、
と思ったりしている間に15分ほどが過ぎ、中腹にある西島駅に着いた。

ここにもテント場があるので、午後便バスでここまで登ってテント泊、翌朝から登るっていう手もあるね。

今回目指すのは頂上から1時間ほど先の一の森テント場だ。
一の森を選んだのは
テントを担いで頑張って少し歩いてみよう。
と思ったのと、景色が美しそうだから。

あっというまに1750m登ってきた眺め。

西島駅から剣山頂上まではコースが3つ。
・尾根道コース(最短の40分)
・大剣神社コース(60分)
・遊歩道コース(80分)
難易度は特に変わらないようなので、剣山御神水の湧水に立ち寄れるという大剣神社コースを行くことに決定。

鳥居をくぐってやっと登山の開始である。