命短し、歩けよたおやめ

体力なし筋肉なし経験なしのたおやめが老朽化と戦いながらはじめた登山の記録

装備軽量化への道:手ぬぐい1枚減らせない者には軽量化はできぬ

 登山装備の軽量化について思っていたこと

登山装備の軽量化については、あまり真剣に考えたことがなかった。

「軽量化」ってなんか、かっこよくない?
テント泊の荷物をがっつり担いで縦走に向かう人、とか
ファストハイカー?スピードハイカーっていうのかな?
小ぶりな荷物を担いで颯爽とまさに飛ぶように歩いていく人、

そういう人たちが挑むのが軽量化で、自分のようなゆっくりゆっくり登る登山初心者には縁がない、と思ってた。

今思うと、一般の登山者もした方がよい「軽量化」と「ウルトラライト」というやつを混同していた気がする。
それくらい無知で、重さについて興味がなかったのだろう。

雑誌に載っているアイテムを見ながら「やたら重さを書いてあるなあ」ぐらいに思っていたほど。
1つのアイテムが××グラム、とか言われても、、
その1つ1つが集まって塵も積もれば山となり恐るべき重さになることが実感できなかったのだ。

そんなわけで、最初に登山装備を揃えた時は軽くて高いものが買えなかったこともあるけれど、重さはあまり重要視しなかった。
パッキング時も入れたいものを入るだけぱんぱんに詰め込んでいた。

それでも日帰りの時はなんとかなったが、初めての小屋泊用にパッキングしたザックを背負った時の衝撃は計り知れなかった。

「えっ、これで15キロ歩くの??」
「しかも、坂道だよね?」←当たり前

あまりの衝撃と重さに比喩ではなく本当に一瞬よろめいた私はさすがに荷物を見直した。
…が、たいして減らすことはできず、巨大な荷物と共に上高地から涸沢カールまでの道のりを歩くことに。

初めて歩く北アルプスの美しさに大感動し荷物の重さを忘れた、、、
というのは嘘だけど、元気百倍。

やはり人間、気合と根性である。

というのは間違いで、やはり無駄な荷物は減らさなければ。
それが体力の消耗を防ぎ、安全にも繋がるのだから。   

▼私に重い荷物を担ぎ続ける気力を与えた涸沢カールの青い空

体力無しのくせに重い荷物を担いでいたたおやめがやっと軽量化に目覚めた

そんなぼんやりした私も登山を始めて3年ちょっと経った頃、「軽量化」について考えてみようと思うようになった。

きっかけは例えば、

・同じ行程を登っている女性の荷物がみんな自分より小さく軽いことに気づいたとき。

・小屋番さんに「ずいぶん大きな荷物で来たね」と驚かれたとき。

・山がどんどん楽しくなってきて、もう少し長いルートを歩いてみたい、テント泊にもチャレンジしてみたい!と思ったとき。

なんたって体の老朽化はどんどん進んでいくのだ。衰えていく体力の助けになるよう工夫しなくては今以上を目指せない。

考えるようにはなったが、とりあえず現状の荷物を担いで歩けてはいたので、頭の片隅にぼんやり「荷物…軽くしたいなあ」と浮かべたまま月日は経っていった。

そんな私に活を入れる事件が発生する。

鎖骨骨折

術後の経過は順調だったが、一度はぽっきりいった鎖骨。
少しでも負担を軽くするために、荷物は軽くしておいた方がいいに決まってる。 

登山復帰に備えて荷物の整理と軽量化に努めるのにこの上ない機会がやってきたのである。

このタイミングで腰をあげなければ私は一生重すぎる荷物を担ぎ、涸沢カールの青い空に励まされながらよろよろ歩き続けるであろう。

装備を軽くするには二通り

①持っていくアイテムの数を減らす

登山初心者にとっては難しい。
日常生活でも必要のないものを毎日持ち歩いてしまうタイプの私などは
いきなり荷物を減らして必要なものが足りなかったらどうしよう。
命に係わるかもしれない!
という恐怖心もあり、かなりの慎重派装備だ。

でも、これは間違っていなかったはず。
何が本当に必要か切り分けられない間は、必要と思われるものは減らさずに。
何度も登っているうちに代用できるものや、あると嬉しいけど無くてもなんとかなるものがわかってくる(はず)
まずは安全第一。

②アイテム自体を軽い小さいものにする

これは予算さえあれば簡単だ
軽くて小さくて性能もいいものはなんてったって高価。
始めたばかりで長続きするかどうかわからない趣味に高額な費用はかけられないし、そもそもそんな予算は無かった。
「絶対長続きする自信がある!」とか、予算が十分にある場合は②は最初からどんどん取り入れるべし、であろう。
でも、軽くするために性能を犠牲にしていたり使用方法がベテラン向けだったりするものもあるから気をつけなくちゃ。

 
手ぬぐい1枚減らせない者には軽量化はできぬ

この「1円を笑う者は1円に泣く」みたいな格言?は、雑誌かWEBサイトで見て、

「これ、まさに私のことだ!」

と、感銘を受けた言葉である。

以前は目が滑っていた軽量化とかウルトラライトという言葉が目にとまるようになった頃に巡り合い、今も荷造りの時限定で座右の銘にしている。出典は思い出せないのだけど、これを書いてくれたどこかのどなたか、ありがとうございます。

正確にはこんな感じの文章だったと思う。
「手ぬぐいぐらいあと1枚持って行ってもいいや、と思っているうちは軽量化なんてできません」

まさに手ぬぐいを入れようとして

「ハンカチ代わりに1枚、
 行動中の汗拭きと日除けに1枚、
 下山後の入浴用に1枚、
 予備に1枚
 、、、さすがに4枚は多いでしょ。
 兼用すればいいから2枚?
 でも、手ぬぐいくらいもう1枚入れてもいいよね!」

これが

手ぬぐい1枚減らせない者=私

の思考回路だ。

この思考の繰り返しで荷物はどんどん増えていくのがいつものパターン。

最後にはだんだんめんどくさくなって
「迷ったものは入れちゃえ!だって、なくて困る方が嫌だもん

登山を始めたころは山小屋で寝る、ということがピンとこなかったこともあり、ウェア関連は本当に減らせなかった。

「ほんとに行動中に着てたウェアのまま寝るの?
 汗びしょびしょで大丈夫?
 雨に降られたら?
 川に落ちるかも?
 靴下脱いだやつまた履くの?
 下山後お風呂入った後は?」

…以下続く。

しかし、これからは違う。
迷ったときは座右の銘を思い出すのだ。

 「手ぬぐい1枚減らせない者には軽量化はできぬ!