登山口間送迎シャトルバスで縦走しやすくなった美作アルプス
【登った時期】2023年09月下旬
【同行者】1名
富士、銀座、アルプス
共通点は?そう、ご当地○○が各地にあるやつですね。
○○富士は円錐形の美しい山
○○銀座はその地で一番賑やかな商店街?
若い人でも○○銀座って言われてもぴんとくるのかな?
で、○○アルプス。
富士と銀座はともかくアルプスってどういう基準?
ちょこっと調べてみたけど、「景観や雰囲気がアルプスっぽい山々」もあるけれど全くアルプス感のない山もあるようなので、とにかく地元民が「これがうちの○○アルプスだ!」と言い張れば愛称をつけたくなるような山ってことだろうか。
というわけで、岡山県のご当地アルプス:美作アルプスを歩いてきた。
岡山県最高峰の後山、第2位の船木山、3位の駒の尾山をつなぐ稜線は近年【美作アルプス】とよばれている。
岡山県と兵庫県の県境の笹の稜線は標高差も大きくなく、とても気持ちが良さそうで歩いてみたいと思っていたが、まず登山口までの足が厳しい。
登山口まで行けても縦走するのは難しい。
そんな声が多かったのか、2021年から美作市がシャトルバスを運行開始!
これを使えば縦走コースを歩けるのだ。
美作アルプス登山口間送迎シャトルバス利用の縦走プラン
2021年より運行されたシャトルバスは毎年少しずつ時期や運行ルートを変えている。
*2023年度は9/16~11/19の土日祝のみ運行
*代金:500円
*運行ルート:船木山登山口~駒の尾山登山口
*団体以外は予約不要
当初は最寄りの鉄道駅:智頭急行大原駅から駒の尾山登山口までバスが運行されていたが2023年はこの区間のバスはなくなっていた。
*代わりに智頭急行大原駅から登山口までは送迎タクシーが1000円/台で利用できる。(要予約)
今回はめずらしく同行者がいるので、安心してマイカー利用プランをたててみた。
・車で船木山登山口へ(下記黒線)
・船木山登山口駐車場に車を置いて、シャトルバスで駒の尾山登山口へ(下記赤線)
・駒の尾山登山口から縦走開始、船木山登山口へ下山(下記緑線)
▼こんな感じで行ってみよう!
車が使えない場合は、各登山口と大原駅との往復を送迎タクシーを利用すれば公共交通機関利用でも大丈夫。
船木山駐車場からシャトルバスで駒の尾登山口へ移動
9月終わりの晴れそうな日を狙い岡山県へ。
船木山駐車場に到着。
駐車場傍の林の中にトイレあり。
私は使用しなかったのだが、行った同行者によると
「かなり昔なつかしいトイレだった。虫もいっぱいいた」とのこと。
シャトルバスの案内も掲示されている。
9時頃シャトルバスが到着した。
運賃500円を払い、近隣にある施設:愛の村パーク 内の日帰り入浴施設割引券とコットンのエコバッグをもらう。
アンケートを書いて9:20に出発。
駒の尾登山口までは20分ほど乗ったと思う。
広くて綺麗な駐車場には船木山登山口よりたくさんの車が停まっていた。
降り立ってみると、
寒い!
こんなに涼しいとは思わなかったというより「寒い」
かなり風があったこともあるが、半袖で来たことを後悔するほど。。
歩き出したら暑くなるとは思うけど、とりあえずレインウェアを着こむ。
赤い屋根の下にはトイレと簡単な休憩スペース。
駒の尾登山口のトイレがこちら。
ぼっとん式だったが明るいし虫もいない。
同行者によると船木山登山口のトイレよりこっちの方が断然きれいらしい。
駒の尾登山口から3つの山頂を経て後山へ縦走
身支度を済ませ、10時過ぎに標高952mの登山口から出発。
【駒の尾登山口】と刻まれた立派な岩がどーんと据えられているので間違いようがないわかりやすい登山口だ。
登山道は大変きれいに整備されており、最初のうちは階段が多かった。
左右をブナ(と思われる)に囲まれた明るい道をゆるく登っていく。
広くて歩きやすい。
とても気持ちのいい道だ。
風が爽やかだったが、歩き出すとすぐに暑くなってきてレインウェアを脱いだ。
すぐに展望台に着いた。
立派な建物だなあ、と思ったら
なんと立ち入り禁止。
展望台には入れないが、すぐ横から展望が開けていた。
地図によると展望台の標高は1100m。
登山口が960mもあるので、ちょいと登っただけでこの眺め。
引き続き綺麗な道をのんびり歩く。
季節もあるのだろうけれど、この山にはきのこがいっぱい。
しかもよく見かける小さいびっしり系ではなく一つ一つが大きいものが多い。
そういえば恐ろしすぎて写真は撮らなかったが超巨大ナメクジもいたことを追加しておこう。
▼お花系
▼白子系
その後もゆるくゆるくアップダウンしながら、標高をあげて歩きやすい道を行き
稜線に出た。
駒の尾山頂:1280m
最初の山頂に到着。
明るく開けた駒の尾山頂だ。
標準コースタイム通りで約1時間だった。
今回4つの山頂を歩いたが、この駒の尾が一番開けていて眺めが良かった。
北側は晴れていれば鳥取の伯耆大山が見えるらしいけど、本日は見えず。
南側は、、きれいな青。
あれは瀬戸内海?
え、嘘!と思ったけど、どうみても海だ。
岡山県の北の端にいるのにそんな遠くまで見えるんだ!とちょっと驚く。
東側にはこれから歩いて行く後山方面への稜線が続いており、わくわく。
笹の中の縦走路もくっきり見えている。
時は11時。
山頂標識の周りにストーンヘンジか巨大日時計みたいに岩が並べてあり、休憩するのにぴったり。昼食には少し早いけれど、この後良き場所があるかどうかわからないのでここでお昼にする。
ちなみにこれが大正解だった。
お昼を手早くすませ、すぐに行動開始。
駒の尾山から少し下りたところに避難小屋があった。
覗いてみたら板張りの小屋で緊急時には十分使えそうだった。
どんどん笹の間の道を行く。
相変わらず風が吹いていてあたりの木立はかなり揺れているが、笹に守られた登山道は穏やか。
かなり高さがあり笹の壁に囲まれた迷路を歩いているようである。
我が六甲山で笹の道、とくればこれはもう猪の住処にしか見えないんだけど、この辺りはどうなのだろうか。
少し登って開けたところから、こんもりした丸い山が見渡せた。
これを登った所が鍋ヶ谷山頂と思われる。
このあたりが駒の尾山頂から見えた笹の丘だろうか。
鍋ヶ谷山山頂:1253m
丸い丘を登り少し進むと、唐突に登山道の真ん中に標識が立っていた。
駒の尾山と違い雑な扱いをされている、ここが鍋ヶ谷山山頂だ。
かなり地味。
山頂らしい山頂ではないけれど、笹の切れ目から駒の尾山を振り返ってみた。
ここまで30分。
鈍足の私でもコースタイム通りである。
次の舟木山へも、笹の道と林の道を交互に抜ける感じで歩いていく。
笹の間からぱあっと左右が見える道を期待していたけれど、笹の高さが思いのほか高く迷路状態のため眺望はない。
それでも気持ちよいことには変わりなし。
道幅も広く危険個所もなく、とても歩きやすい。
どこまでも歩いて行けそう。。
またもや巨大なキノコに目がすいよせられる。
ひとつひとつが私の手の平くらいある大きめきのこがみっしり固まってる。
小さいのがびっしりかたまっているのもぞわぞわっとくるけど、でかいのは、
これはこれで気持ち悪い。
気持ち悪い思いつつ、なぜか吸い寄せられてしまうのがきのこというもの。
横からみると三笠まんじゅうみたい。
間にあんこ挟んでみたい。。
笹が少し低くなったところから南を見てみると、中国山地の山々はラインが柔らかだ。ゆったりとした山並みが連なっている。
その向こうに見えるのは、おそらくあれは小豆島!
後山方面と舟木山登山口の分岐に出た。
最後は舟木山登山口に下りるポイントだ。
まずはここから後山を往復するよ。
船木山山頂:1334m
分岐から少し進むと船木山山頂。
ここも道の途中に突然標識立っている頂上っぽくない頂上だ。
登山道の脇にちょと座れそうな岩があるけど通行の邪魔になりそうだし、休憩できそうな場所はないと言えそう。
山頂の少し手前に数人が座れる岩のスペースがあり、食事をとっている人たちがいたが、付近で休憩できるのはそこくらい。
昼休憩を駒の尾山山頂でしてきて良かった。
おやつを食べたかったけど我慢してもう少し進む。
よく見ると、船木山の標識が登山道の両脇に2本立っている。
登山道北側:白い方には【宍粟50名山】と書いてあるので兵庫県。
南側の立派なやつは美作市とあるので岡山県。
この登山道が兵庫と岡山の県境なのでしょう。
ひらけている南側。
船木山から後山までは30分。
今回の縦走路は展望がありそでなさそだったのだけど、ここから後山への道は南側が開けて気持ちよし。
瀬戸内海まで見渡せる。
ゆるやかなアップダウンを繰り返してここまで来たけど、最後はちょっとだけしっかり登る。
後山山頂:1344m
到着!
岡山県最高峰後山である。
祠と三角点と標識が数種類。
なんだか寄せ集めというか統一感のない頂上ですな。
と思ったら、白い兵庫県側の標識と茶色い岡山側標識のせいか。
兵庫県の最高峰は氷ノ山で、氷ノ山、三室山に続いて3番目。
岡山県の最高峰はここだから岡山の方が標識に力が入ってると思われる。
東京最高峰雲取山に登った時のことを思い出す。
雲取山は東京埼玉山梨の県境で、東京都の気合が入りまくった標識が立ってたけど山梨県の存在感全くなかったな。
山梨には天下の富士山があるもんね。
あれっ
よく見ると兵庫県の標識1345mになっているではないか。
兵庫県さば読んでる?
四捨五入によるものだろうか?
そんなに広くはないけれどすみっこにザックをおろしておやつを食べたら下山開始。
やや荒れ気味の下山道を船木山登山口へ下山
分岐まで戻り、船木山登山口方面へ。
船木山登山口=後山キャンプ場まで2キロ、標高600mほどをひたすら下る。
標準タイムは90分だ。
最初は明るい笹のゆるい道
すぐになかなか急な下り道に変わる。
木の根っこと石の交じり合った歩きにくい道。
単調にどんどん下りていく。。
ものすごーく下りた気がしたのになんとまだ500mしか歩いてない。
根っこ道あり
階段あり
もろもろの土の道あり。
駒の尾登山口からの前半戦が開けたゆるいハイキング道だったのに比べ、かなり登山道っぽさがある。
単調な下りを想像していたので、良く言えば退屈しない。
こちらから登るのは結構しんどそうだなあ、と思いながらどんどん下りる。
登山道がわかりにくいところにはきれいな道標やピンクテープが頼りになる。
荒れ気味ではあるものの丁寧に歩けば問題ない道だが、一か所だけ鎖があった。
黄色いロープが張られてう回路に導かれ、鎖を頼りに部分的に道を外れる。
次第に水の音が聞こえてくるなあと思ってたら、沢に遭遇。
この辺りが一番わかりにくかったけど、しっかり道標をたててくれているので
しっかり目を配りその通りに進む。
何度か沢を渡りながら沢沿いに下りて行く。
沢から離れて更に雑木林を下って下って、、
脚が疲れ果ててきたころ
ようやく登山口に到着!
船木山登山口駐車場まで100m?ほどの車道に面した登山口に出た。
振り返ると【船木遊歩道】って標識があるんだけど。
どのへんが遊歩道?
遊歩道のハードル高くないか?
とつっこみながらよろよろと登山口から駐車場へ向かい、愛の湯パークでお風呂に入ってさっぱりと帰宅の道についた。
整備されたゆるやかな道とさわやかな稜線を楽しみ、荒れ気味だが変化に富んだ下りを縦走できたのはシャトルバスのおかげ。
楽しい縦走だったが、足元悪い登山道を歩いたことがない初心者は【遊歩道】に騙されず、駒の尾山登山口からのピストンがお勧めと思う。