本沢温泉~夏沢峠~根石岳~本沢温泉
【登った時期】2023年7月中旬
【同行者】1名
登頂を目標としない初めての八ヶ岳歩き。
黒百合ヒュッテから雨風はげしい中山峠を下り本沢温泉に着くころには、時々青空がのぞきつつあった。
本沢温泉に荷物をデポし身軽になって夏沢峠へと向かう。
本沢温泉から行けるところまで行ってみよう
水と行動食・雨具等必要な物だけをアタックザックで背負い本沢温泉を後にする。
背中に羽が生えたように足が軽い。
ショッカーが現れそうなザレ場を通り抜け、
しゃくなげが美しい道を歩く。
背中にも足にも羽が生えたぁ、などとぬかしていたのは最初だけ。
カラマツだろうか。針葉樹の樹林帯はやがて傾斜がきつくなり、、羽を失い重りを得た足で黙々と登る。
それでもなんとかコースタイムの1時間弱で夏沢峠に到着!
ヒュッテ夏沢はこの日は営業していない様子だった。
夏沢峠は南八ケ岳と北八ヶ岳の分岐点とされている。
江戸時代は佐久地方と諏訪地方を結ぶ道の要所として栄えていたそうだ。
ヒュッテの前に座りしばし休憩。
ふと気がつくとヘリの音。
昨日までは天候不良だったため本日は荷上げに大忙しのようだ。
「とにかく夏沢峠まで行こう」と登ってきたものの、広がりだした青空と美しい景色に欲がつのる。
もう少し行ってみよう。
美しいブナの間を再び羽の生えた足でゆく。
ありがたいことに歩きやすい緩い登りの樹林帯が続く。
とても気持ちよく歩ける道だ。
展望のない箕冠山という分岐点に着き、そこから少し下ると、
ぱあっと目の前が開けた。
ゆったりした根石岳の向こうに天狗岳!
馬面女王様と甘酒の根石岳
更に軽くなった足取りで鞍部の根石岳山荘まで下る。
ここはコマクサの群生地として有名だそうで、山荘はまさにコマクサの群落の中にあった。
コマクサは【高山植物の女王】とよばれているが、なぜに【女王】なのか不思議だった。
ピンクのひらひらっとした感じが女王様っぽいから?
女王の由来はよくわからない中、コマクサという名の由来は花が駒=馬に似ているからだと知った。
なるほど、駒草ね。
これには納得。
それ以来、コマクサを見ると馬面女王様に見えて仕方がない。
馬面女王様を愛で、根石岳山荘で少し休憩していくことにした。
非常に美しいトイレはなんと水洗。
確か100円だったと思う。
飲み物は甘酒を。
素敵なカップで提供されるのが嬉しい。
疲労回復にもよい甘酒は江戸時代は夏の飲み物だったと何かで読んだ。
手軽に栄養を摂れる夏バテ予防食品だったのだろうか。
根石岳山荘では宿泊するとお風呂に入れるらしい。
2550mの稜線上の小屋で入浴できるなんて!
次回はぜひここに泊まって天狗岳を目指そうね、と友人と誓い合う。
咲き誇る馬面女王様
山荘前から広々した根石岳を登っていく。
根石岳:標高2603mに登頂!
目の前に連なる天狗岳
振り返れば硫黄岳
頂を目的としない今回の山行の最高地点はこの根石岳。
可能なら登ろうと思っていた天狗岳登頂はあきらめたが、素晴らしい展望の根石岳に登ることができた。
大展望を楽しんだ後は天狗岳方面の鞍部へ下りて行く。
ここまで来ると天狗岳まで行けそうな気もするけれど。。
時計と相談して素直にあきらめるのが私たちのいいところ。
またゆっくり登りに来よう。
来た道を戻ってもいいけれど、白砂新道を通って本沢温泉に下りることにする。
この白砂新道が私達にはなかなかの難路。
急な下りというか最早「急降下」とよびたいジグザグ道をひたすら下りる非常に歩きづらい道。ガレ場、砂利、倒木、木の根っこ、崩れやすい柔らかい足元が続き、緊張が続く。
樹林帯に入った後はかなり歩きやすい道になりほっとした。
本沢温泉までの最短路だが、夏沢峠経由で楽しく下りた方が良かったかもしれない。