命短し、歩けよたおやめ

体力なし筋肉なし経験なしのたおやめが老朽化と戦いながらはじめた登山の記録

日本で一番高いところに立ってきた_5:お鉢巡りと日本の最高地点剣ヶ峰【富士山3776m】

日本の最高地点剣ヶ峰に立つ

【登った時期】2021年08月上旬
【同行者】なし

 

体力があまりなくて時間はわりとある私の【日本で一番高い山挑戦】はお鉢巡りもゆっくりできるように2泊3日の計画。

2日目は七合目の山小屋からじわじわ登り、遂に吉田口ルートの頂上へ到達した!

吉田口ルート終点に到着

美しい白い鳥居をくぐり、ついに吉田口ルート(と須走ルート)の終点にして頂上に到達した。
久須志神社の前だ。
別名は東北奥宮。
標高3715m。
さっそくお参りし、御朱印をいただいた。
お守りやステッカーも購入できる。

神社の前からの景色は、登りながら時折振り返ってみた景色と変わり映えせず、
頂上に到達した喜びはあるけれど、「頂上から見た景色」には残念ながらそこまで感動を覚えない。。
あれ、この感覚どこかで味わったことがあるな。
そうだ、伊吹山に登った時と同じだ。

www.arukuyo.com

 

「頂上で御来光を見る」ことの意義はこの絶景に大感動できることなのかもしれない。
たぶん御来光自体はここで見ても七合目から見てもそこまで違いは無いのではないかと思う(頂上で見てないので、あくまで想像…)
しかし、真っ暗な中を登ってきて、明るくなった時に初めて目の前にこの光景が広がったら感動も一入だろう。

▼とはいえ、遮るもののない広がりを感じられるのはさすが日本一の独立峰

お鉢巡り開始

お参を終えたらお鉢巡り開始。
久須志神社から富士山の最高点剣ヶ峰はちょうど向かいにあるので、どちらからまわっても距離は同じくらい。
富士講登山では時計回りにまわったそうなので、時計回りに歩く事にした。

頂上から見渡す景色よりも驚いたのは頂上に自動販売機があったことだ。
そして、自動販売機の存在より驚いたのは、コカ・コーラと肩を並べていたのがキリンでもサントリーでもなくダイドードリンコだったこと。

自動販売機に驚いた後は富士頂上銀座。
山小屋がいくつか並び飲み物や軽食を購入できる。

昼食には朝のパンの残りと自分で持参した行動食があるので、ここは通過。
もしも寒かったら話のネタに日本一高いカップヌードルを食べてみようかと思っていたけれど、暑いくらいの天候のため却下。

 

頂上銀座を抜けたところが吉田口ルート下山道への分岐。
ここでうっかり下山道に入り込むとえらいことなので、念のため道標も確認し、
剣ヶ峰の方へ向かう。

頂上に着けば平坦かと思いきや、なだらかとはいえ、またすぐに登りが続く。
しかし頂上到達の喜びのせいか脚は軽い。

少し登って振り返り富士銀座を見下ろす。

平たい巨大な岩のあたりは伊豆が岳というみたい。
登山道は左側を通過。

右側に巨大な割れ目。火口が見えてきた。
火口の向かいに要塞のようにそびえるのがおそらく剣ヶ峰だろう。

火口側ももちろんだけど、左側の急斜面もかなり怖い。
右側は自分で覗き込みにいかなければ落ちないと思うけど、左は登山道の傍がもろそうな斜面に続いている。

右側が壁のように迫る細い道はちょっと緊張しながら歩く。

これ、よろめいて脚を踏み外したら、、
日本一高い山からどこまで落ちていくことやら。

強風や霧・雷の時はお鉢巡りは禁止というのも頷ける。

ど迫力の旧噴火口は大内院と呼ばれ、
直径約800m!
底の標高は3537m

・・・ということは高低差200mほど。
もし滑落しても、無事かどうかは別にして一応200mで止まるのか。
さっきから落ちることばかり考えているが、なんとなくほっとする。

そんなこたあない、とは思いながらも、
子供の頃に眺めた図巻の【火山の絵】みたいに、噴火口が地底までずっと縦に続いている様子をつい想像してしまうんだもの。

垂直に3776mの縦穴。
3.7キロですよ。
平地をゆっくり目に歩いて1時間の距離が縦穴になってたらすごくない?
いや、なってないけど。
なってないけど想像すると気が遠くなりそう。。

やがて道は噴火口から少し離れ、左側も崖から離れて安心。
しばらくほぼ平坦な平地を行く。
東安河原というみたい。

なにやら建物が見えてきた。
下ったあたりが御殿場ルートの終点・頂上だろう。

銀名水の碑。
祠があり湧き水がお祀りされていると見たような気がするが、今は枯れてしまい碑だけがたてられているのだろうか。

富士宮ルート頂上、登山道を登り切ったところに
富士山頂上浅間大社奥宮。
こちらにもお参りして御朱印をいただいた。

奥宮の隣の頂上郵便局はこの年は休業中。
ここからはがきを出したかったので残念。

奥宮の前は広場の様に平坦な場所が開けていたので、ここでお昼休憩をとることにした。朝ごはんの残りのパンと行動食で軽くすませる。

近くで休憩中の男性とちょっと雑談。
反対まわりにお鉢巡りをしてきたので既に剣ヶ峰を回ってきたそうだが、剣ヶ峰直下の道が「ものすごく滑りやすいから気をつけて。なるべく柵の近くを歩いた方がいいですよ」とアドバイスをいただいた。

富士宮ルート頂上付近に立つ鳥居後に見下ろす海は、、どこの海?
富士山と海と言えば駿河湾だから駿河湾?

まあ、とにかくだ!

なかなかキレイな頂上公衆トイレに立ち寄る。
もちろんこれまで立ち寄った中で最も高いところにあるトイレだ。

さあ、あと少し。

いかにもラスボスの待つ城感があふれる剣ヶ峰の堂々たる姿よ。

ラスボス城の前に立ちはだかるのは【馬の背】とよばれる急登だ。
おそらく本日最後の踏ん張りどころ

遠くから見るとどうってことない坂道に見えるけれど、実際に歩いてみると傾斜は急だし、固い岩の上に砂がまんべんなくまぶされている感じで、滑ること滑ること。
アドバイスの通り左側の柵の傍を歩いたが、それでも時々ずるっといく。

ど真ん中を行く人や下ってくる中には立ち往生したり転んでいる人も。

遂に日本で一番高いところに立つ

馬の背を過ぎて階段をゆっくり登り、

そして

遂に

日本で一番高い所に到着!

(実際に一番高いポイントは石碑の左後方にある)

五合目まではバスの力を借りたけれど、その後はすべて自分の脚で登ってきた。
本当にゆっくりだったけど、あきらめずに足を前に踏み出せば着くんだね、、
海抜3776mもの高さに。

そして、この瞬間、
日本に私より高い場所に立っている人はいないのだ。

なんとも言えぬ不思議な気分。
そして、なんと晴れがましいことでしょう。

今は無人となった旧富士山測候所

剣ヶ峰から見た大内院。

しばし剣ヶ峰を徘徊した後は、お鉢巡り後半へ。

お鉢巡り後半

剣ヶ峰を反対方向に下りてゆく。
剣ヶ峰から引き返す人も多いのか、登山者の姿は少ない。

青い空に沸き立つ雲。
上層中層下層と、色々な種類の雲が一堂に会し、雲の図鑑を見ているみたい。

ゆるやかなアップダウンの歩きやすい道だが、強風や視界不良時にはかなり危なそう。
左側は写真で見るよりも急斜面に感じた。
もしも足を滑らせたら、たぶん止まらない。
どこまでもどこまでも。

大きく開けた展望は、どのあたりが見えているのだろうか。
関東の地理に明るくないのでさっぱりわからないけれど、

3700mの独立峰というのはどこを見渡しても遥か遥か遠くまで広がる大絶景。

奈良県大台ケ原からはコンディションが良ければ富士山が見えるそうだけど、逆に富士山から奈良県が見えるということ?
いやーー見えないでしょ、と思ってたけど、実際に富士山に登ったら見えるような気がしてきた。

全国各地に【富士見○○】という地名が散らばっているけれど、昔の人もやっぱり富士山は気になる存在だったんだね!
と思うとなんだか楽しい。

火口沿いにくるりと歩き、剣ヶ峰が小さく見える所まで来た。

左側に小内院を見ながら縁を歩く。
これも大内院同様の噴火口だそうだが、大内院を見過ぎたせいか火口というより割れ目という印象。

火口から離れてしばらく、
ゆるやかな丘の上に小さく白い鳥居が見えた。

ぽつんとたたずむ白い鳥居。

なぜだろうか、富士山の山頂のことを思い出すとなぜか真っ先にこの鳥居を思い出す。
久須志岳の頂上だっただろうのか。
どうしてあの時あそこまで登ってみなかったのか。

もしもう一度富士山に登ることがあれば、あの白い鳥居の下に必ず行こう。

お鉢巡りを無事に終え、久須志神社まで戻ってきた。
富士山の大きさ、富士山への信仰を感じることのできるお鉢巡り。
ゆるいアップダウンの道だったけれど、ずっと吹きさらしの中を行くので好天に心から感謝。
2泊3日の余裕のある行程にして本当に良かった。
1泊だったら私の足では絶対にお鉢巡りはできなかった。
高山病や天候不良などの要因がなければ、お鉢巡りせずに下りるのは本当にもったいないと思う。
私の様に体力に自信の無い方はぜひ2泊してお鉢巡りに挑戦することをおすすめしたい。

頂上銀座に帰ってきた。
時刻はちょうど15時をまわったところ。

登ってきた時はにぎわっていた山小屋前のベンチで少し休憩。
今日中に下山する人たちはとっくに出発したようで人気は無いが、寝転がって昼寝?している人もいた。
私も大の字に寝転んで空を眺めたくなったけど、山小屋のシングルスペースを確保するためにあきらめて出発。

本日の宿泊地:本八合目まで下山

吉田口ルートの下山は頂上から下山専用道を下りる。
頂上銀座を過ぎ、吉田ルート・須走ルートの下山口で標識を確かめて下りて行く。

前を行く人は空に向かって歩いているみたい。

下山道は登りと異なって、砂と小石が混じったような道。
足がちょっと沈みこむようなふかふかした感触。

単調に大きなジグザグが続くこの道をどんどん下りて行く。

永遠に続くかと思われた本八合目から頂上への登山道と比べると「あっという間」に
本八合目に下りてきた。
トモエ館のお隣の江戸屋の下だ。

江戸屋の軒先を通って、本八合目トモエ館に到着。