立山周回・二山縦走:室堂平~剱御前小舎(泊)~別山~大汝山~雄山~室堂平 1日目
【登った時期】2021年7月中旬
【同行者】なし
立山駅近くで一人宿泊に苦労する
憧れの立山周回は時計回りに歩く事に決定。
さあ、鎖骨骨折によりしばらく遠ざかっていた小屋泊登山だ。
立山なら夜行バスで早朝富山に入りそのまま登る、という手もあるが、前日も宿をとってしっかり休んでから登ることにした。
近所の低山で少しずつ体力復活に励んではいたが、元々体力に自信のないたおやめだ。ここは念には念をいれ無茶はしないのが私のいいところ。
と自画自賛したものの、、ない。
1人で泊まれる宿がない。
もちろん富山駅前であれば1人で泊まれるホテルはいくらでもあるが、せっかく前泊するのだから立山駅周辺に泊まりたい。
Webサイトでは1人宿泊可能な宿がみつからない中、ダメ元で電話してみたら快く受けつけてもらえたありがたいお宿がこちら:
立山山麓温泉 山の宿やまびこ
立山駅に着いたのは19時半くらい。
降りる人はほとんどおらず、閑散とした雰囲気が新鮮な駅前でお迎えの車に乗る。
宿は立山駅から車で5分ほど。
シンプルな和室には必要なものはすべて揃っており、温泉大浴場もある。
遅い時間に迎えに来てもらい翌朝も早朝送ってもらえ、往復とも私一人で申し訳なく思ったが、とても助かった。
他にも宿泊客がたくさんいたようだが皆自家用車なのかな?
入浴後はしっかり睡眠を、、と思ったがなんだかワクワクして寝付かれない。
それでも快適な布団で体を伸ばしているだけでも疲れが取れ、翌日への活力が倍増する気がする。
夜行バスはやめて前泊にして良かった。
やまびこさん、ありがとう!
室堂平から雷鳥沢キャンプ場へ石畳の快適な道を行く
翌朝は宿の部屋で持参した朝食をとり、立山駅まで送ってもらった。
混雑前にケーブルとバスをさくさく乗り継いで室堂ターミナルに到着。
ターミナルには熊注意のポスターがお出迎え。
雷鳥沢で目撃情報がある。
既に早朝ではないし人も多いだろうが気をつけようと気を引き締める。
ターミナルから外に出ると石畳の向こうに輝くような立山連峰。
なんという快晴。
骨折に耐えに耐えた1年ぶりの夏山は絵に描いたように晴れやかに私を迎えてくれた。
天気予報によると午前中晴れ、午後崩れるそうだが、やはりターミナルを出た瞬間のこの「どこまでもぶるー」はテンションだだ上がりである。
【玉殿の湧き水】で冷たい水をたっぷり補給していざ出発!
今日は体を慣らしながらゆっくり剱御前小舎まで登るだけなので、あまり焦らずのんびりと石畳を行く。
観光客に交じりながら歩いていると、
「見てみて!あんなところに人がいる」
「嘘。動物じゃないの?」
「違う違う、ほらほら」
「ほんとだ!えっ歩いて行ったのかな?どうやってーーっ」
ときゃっきゃ言っているお嬢さんたち。
登山に全く興味がない人からすればあの遥か彼方の山の上に【人間】が立っているなんて信じられないのだろう。
はい、かつての私もそうでした。
あんなとこに立ってるのはマロリーさんとか三浦さんとか植村さんとか天狗とか、選ばれしものだけだと
しかし今の私は知っている。
一歩一歩確実に足を踏み出していけば、こんな体力なしのたおやめでもあの頂に立てることを。
ふふ。
それにしても視力いいなあ。
と、感心して目を凝らしてみると、、見えた!
今日の目的地剱御前小舎が見えた。
そして、明日歩くはずの稜線がぐるりと見渡せる。自分がこれから歩く予定の道をこんなにはっきり見渡せるのもかなり珍しい気がする。
さあ、あの稜線を歩きとおすことができるのか。
鼻歌交じりに歩を進め、雷鳥沢温泉の前を通り
キャンプ場への長い下りにかかった。
どんどん下りる。
どんどん、、、
確かに2日の行程を終えて最後にここを登るのは応えるだろうなあ。
時計回りにして正解だった、と早くも思う。
トイレも水補給もしなくてよいのでキャンプ場はそのままスルーし、浄土沢を渡る。
ここからは未知の領域だ。
分岐を見過ごさないように気をつけて進む。ものすごく気をつけてたのに浄土沢の美しさに気を取られ分岐を通り過ぎる。。
すぐに気がつき戻ったところ、しっかり赤字で【ゴゼン】の文字が。
分岐をたどって、灌木の茂る小道を抜けると、
大きく開けた枯れた沢?に出た。
ゆるゆる高度を上げながら歩いて行ける。
お花なんかも愛でながらのびのび歩く。
絵にかいたような夏山だ。
永遠に続いていそうな青い空。
振り返ってみると雷鳥沢キャンプ場が小さく見える。
ゆるゆるながらも高度は着実に上がっているのだ。こんな感じで最後まで登れたら楽なんだけどなあー。
とにかく眺めが素晴らしいのでなかなか足が進まない。
が、あまりぼんやりもしていられないので先へ進もう。
それにしても見事な立山のゼブラ模様。
ゼブラだなんて誰が名付けたのかうまいこと言うねえ、、と
ふと振り返ると。
ついさっきまで「どこまでも遥かにぶるー」だった空にむくむくと雲が湧き上がっている。あれよあれよという間に雲は沸き立ち、追いかけてくる。
あれにつかまる前に小屋にたどり着きたい。
いつの間にか登山道までもがのんびり坂道から急登に変わっている。ジグザグに登っていくが、足元はかなり崩れやすく不安定だ。
落石をおこさないよう注意して登る。
小屋が見えてきた!
最後のこの急登をがんばってそろそろ登り、、
剱御前小舎到着
着いた!
時刻は11:50だ。
室堂平を出たのが8:30頃だったので約3時間20分。
標準タイムが2時間50分なので30分オーバーだが、途中で写真を撮ったり景色を眺めたりと時間をかけまくったので私にしてはまずまずのタイム。
そして、小屋の前からは、、
ばーーん!と
剱岳
堂々たる存在感!
ラスボス感あるなあ。
とげとげしているね。
あんなのどうやって登るんだろう。
ま、私は一生登らないけどね。
もっと眺めていたいけれど、まずは小屋に入って宿泊の手続き。
なんと女性部屋一番乗りだ。
好きなところを使ってくださいと言われたので、入り口に近い壁の横エリアを選択。
ザックは廊下の棚に置くシステム。
これも使い良さそうな場所に置かせていただく。
更衣室もあったので早速使わせてもらった。ほかに誰もいないので焦らずゆっくり使って身支度を整える。
早く到着するって素敵。
荷物を片付け、身づくろいをしたら昼食だ。
人気があるようで売り切れ寸前だったカレーになんとかありつき、小屋の前で剱岳を眺めながらいただく。
なんと贅沢な昼食だろうか。
お酒が飲めれば「剱に乾杯♡」というシーンだが、あいにく私は下戸なのでコーヒーを飲みながらしばしうっとりする。
食後もまだまだ時間があるので、小屋の前にそびえる三角形の山:剱御前山に登ってみることにした。
が、ちょっと登ったところでガスに包まれてしまったので断念。
適当に座り込んでいつものように流れる雲を眺めることにした。
おお、小屋の後ろに続いているのは明日歩くはずの道だろう。
あっという間にガスに飲み込まれる小屋と明日へと続く道。
午前中は澄み渡って立山ゼブラを堪能できた室堂方面も、すっかりガス?雲?に覆われてしまった。
ぼんやり雲を眺めたりうつらうつらしたりいると、、
いつの間にか剱岳方面のガスが晴れてきて、その雄姿が少しずつクリアに。
再び姿を現してくれた剱岳。
やはり時計回りに変更して正解だった!と再び思う。
2日目にここを通過する時にはガスで見えないタイミングが多そうだし、見えたとしてもこんなにのんびり眺めることはきっとできないだろう。
午後は雲が出たりガスに包まれたりと落ち着かなかったが、日没時には素晴らしい夕日を楽しむことができた。
そして、黒いシルエットになってもかっこよくそびえる剱岳。
おやすみなさい。
明日も良い山行でありますように。