命短し、歩けよたおやめ

体力なし筋肉なし経験なしのたおやめが老朽化と戦いながらはじめた登山の記録

時計回りの立山周回・二山縦走_5:天空の神社 立山頂上峰本社で御祈祷を受ける【雄山~室堂平】

立山周回・二山縦走:室堂平~劔御前小舎(泊)~別山~大汝山~ 2日目_3

【登った時期】2021年7月中旬
【同行者】なし

立山頂上峰本社で御祈祷を受ける

古来、富士山・白山と共に日本三霊山として信仰されてきた立山。
神社の公式サイトによると
「霊峰立山を神の山として奉斎する雄山神社は立山頂上峰本社・芦峅中宮祈願殿・岩峅前立社壇の三社殿から成り立っています。
海抜一万尺(三〇〇三m)北アルプス立山の主峰雄山の岩頭に鎮座。夏山シーズンには多くの登拝者で賑わう」

海抜一万尺っていうのがいいですなあ。

 

この海抜一万尺=3003mの神社では御祈祷を受けることができるのだ。

御祈祷は以前に受けているけれど、
この天空にたたずむ神主さんを見れば、、今回ももちろん行かずにはいられない。

青空と白い雲に橙色の衣が映える。

かっこいい。。

 

御祈祷料を払い、前の回の御祈祷が終わるのをしばし待つ。
天空の神主さんは実はトランシーバー(っていうの?)という文明の利器を隠し持っており、受付と密接に連絡を取っているのだ。
安全な人数だけを安全に迎え入れ、それでいて効率よくさばいていかねばならないのだから大変なご苦労である。

前回の御祈祷を受けた人たちと入れ替わりに山頂へ。
「ゆっくりゆっくり。足元も見て!」と声がかかる。
神主さんは山頂へ登る人だけではなく社務所の前ではしゃぎまわる馬鹿者たちお調子者たちにも目を配っているのだ。
この日も社務所前の絶壁から身を乗り出して
「こえーーーっここから落ちたら余裕で死ねるぅ」とか騒いでいる愚か者若者に「危ないから離れなさい!!」とものすごい大音声で怒鳴りつけて注意していた。
「あそこから本当に落ちて死んだ人いるからね。。」とのこと。

神主さんに本来のお仕事以外の心煩いをさせないで欲しいものだ。

頂上峰本社のあるところが雄山頂上(3003m)だ。

立山信仰ではここが【現世の山】になるという。
現世の山はやや雲とガスに覆われ青空は曇りがちだった。
現世の山で祝詞をあげてもらうというのは、色々考えさせられるものがある。
ここでゆっくり現在について考えるというのもオツだと思うけれど、静謐だった【未来の別山】と違い、とにかく人多すぎで落ち着かない。

隣では相変わらず神主さんが絶叫しているし。

いや、まさにこれが【現世】というものか。

やはり、ここから人気の少なくなる静かな道を人生について考えながら別山に向かうのが正解なのかもしれない。

いよいよ頂上峰本社で御祈祷を受ける。

神主さんの祝詞が海抜一万尺の空に朗々と響き渡る。
それはそれは感動的なひと時なのだけど、

「全国から老いも若きも~~よじ登りし…」
というところで、どうしても笑えてしまう罰当たりな私。

ええ、ええ、よじ登ってきましたよ神様!(*´▽`*)

がんばってよじ登ってきた善良な老若男女が安全に下りるよう見守る神主さん。

黒部側は絶壁。
まさに天空の神職。
「待ちかねたぞ、勇者ビブ丸」って言ってくれそう。

浄土山はあきらめ室堂平へまっしぐら

社務所で御朱印もいただき、さあ気を引き締めて最後の急傾斜を下りるのだ。
ここで時間と脚の疲れを考え、浄土山はすっぱりあきらめることにした。
三山縦走を二山縦走へと予定変更。

【過去の山】はまたゆっくり登って己を顧みることにしよう。

やはり時計回りにして良かった。

もろもろと崩れやすいガレ場を一の越に向かって下りる。
こんな午後遅い時間にも登ってくる観光客が多く、大混雑だ。

登り下りを分けている部分でもペンキを無視して突っ込んでくる人もいる。
大混乱。

ずるずる滑りがちな傾斜をじぐざぐと。

やっと一の越まで下りてきた。

時刻は14:30。
厚い雲が室堂平を覆いつつある。

あとは気を抜いてつるっといかないよう石畳を行く。
ところどころ雪が残って石畳を覆っている部分がある。
雪渓が苦手な私には緊張を強いられるところもあったが、なんとか乗り越え、

ついにみくりが池温泉が見えてきた時の嬉しさや。

時計回りの縦走は鈍足初心者にお勧め

天気予報通り、翌朝は朝から厚めの雲が立ち込めていた。
昨日は晴れ渡っていた稜線もガスの中。

2日間天候に恵まれ、本当にすばらしい復活登山になったことを感謝。

どちら周りに歩くかは悩ましかったが、今回の場合は時計回りにして大正解だった。

 

www.arukuyo.com

 

・初日は体を慣らしながら、物足りない位がちょうどよい歩行距離
・昼時、夕暮れ、早朝と剱岳をゆっくり眺められた
・疲労がたまってくる2日目の午後はいくつかのポイントをスルーしても満足度高し
 (私は浄土山をあきらめた。場合によっては富士の折立や真砂岳も巻けばいい)
・実際歩いてはいないけど、一の越から室堂の方が剱御前から室堂より断然楽に歩けると思われる

反時計回りのメリットとして「大混雑の一の越から雄山を空いている時間帯に通り抜けられる」というのが大きいようだが、私は超鈍足なのでメリットにはならないと感じた。
確かに不慣れな観光客も多くもたつくことが多いけれど、自分もたいして早くないのでイライラせずむしろ焦らずゆっくり下りられたので気にならなかった、というところだ。

でも、普通の速度で歩く人にはかなりのイラっとポイントになると思われる。
あの部分だけは休日の六甲山ロックガーデンみたいになっていたもんね。

 

みくりが池温泉からバスターミナルへはぐるっと回り道して、みどり池の前を通っていく。
みくりが池は観光客に大人気だが、みどり池の周りはいつ来ても閑散としているのでお気に入りのスポットだ。

誰も来ないベンチに寝転んで雲を眺め、ぼんやりと水の音を聞く。

雷鳥というのは天気が悪いと出てくるというのは本当らしく、最後に雛と母鳥を見ることができた。

雛はひよひよと落ち着きがない。
好奇心いっぱいで駆け巡っている。

きりきりっと周りを伺う母。

可愛いなあ、カッコいいなあ、と雷鳥親子を眺め、
その後もぼやぼやしているとあっという間に暗雲が立ち込めていた。

 

ありがとう立山。

また来るよ!